先日、kindleでアドラー心理学を元に執筆された「嫌われる勇気」を読んでみました。
本が出版されてからアドラー心理学についてはたびたび聞く機会があり、理解しているつもりでした。しかし、本を読んでみると全く理解していなかったんだなと感じています。
良本なので全ての人に読んでみてほしいですが、時間やお金がない人もいると思うので今回はここで「嫌われる勇気」を完璧に解説しようと思います。
Contents
嫌われる勇気のあらすじ
かつて1000年の都と謳われた古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれると、と説く哲学者が住んでいた。納得のいかない青年は、哲学者のもとを訪ね、その真意を問いただそうとしていた。悩み多き彼の目には、世界は矛盾に満ちた混沌としか映らず、ましてや幸福などありえなかった。
といった全く異なる考えをもつ二人がお互いの考えを率直にぶつけあいます。青年は哲学者との対話の中で徐々に嫌われる勇気(アドラー心理学)について理解を深めていきます。
対話形式になっていることと青年の悩みにと疑問に共感できる部分が多いことからスッとアドラー心理学が理解できます。
嫌われる勇気の要約
嫌われる勇気の要約を各章ごとにまとめてみました。
原因論ではなく目的論
第一夜では原因論から人は変われないと考える青年に目的論から人はすぐにでも変われる哲人は説いていきます。
原因論とは現在のわたし(結果)は過去の出来事(原因)によって規定されるという考え。
例:引きこもりの人は過去のトラウマによって外に出られなくなったのである。
目的論とは現在のわたし(結果)はいまの目的(原因)によって規定されるという考え。
例:引きこもりの人は外に出たくないから不安という感情を作り出している。
人は過去の経験ではなく、過去の経験にどのような意味を与えるかによって自らを決定するため、トラウマなどない。
さらに「不幸であること」や自らの「ひねくれた性格」でさえも自分にとって都合が良いと判断した結果であり、しかるべき理由があってそうしている。
変わりたいと願っていても変われない人は変化してしまった先の先行きが不透明な自分よりも「このままのわたし」でいることのほうがという不断の決心をしている。
全ての悩みは対人関係の悩み
内面の悩みなどは存在せず、どんな悩みの種類であれ他者の影が潜んでいる。自分のコンプレックスは他者にどう思われているかによって生じる悩みであるのはもちろんのこと孤独でさえも自分以外の存在がなければ感じることはない。
私たちを苦しめているのは客観的な「劣等性」ではなく主観的な「劣等感」であること。身長が低いことに劣等性を感じていたとしても、身長が低いことで「他者を威圧しない」と考えると長所になる。
主観的解釈は自分の手で選択可能であり、自分の身長について短所とみるか長所とみるかは自分次第。
ただ、理想の自分に対しての劣等感は誰にでもあるものであり、劣等感を感じることは成長のために必要である。しかし、劣等感を補うための正常な努力をする”勇気”がなければ、~だから私は成功できないという劣等コンプレックスを持ってしまいます。
人と競争するのではなく自分が成長することに価値を置かなくてはならない。他人と競争をしていると世界を「敵」だとみなしてしまう。これではいつまでも他人に勝ち続けないとならず、心は休まらない。
逆に他人を仲間だと思い自分自身だけに目を向けると悩みは激減できる。また、他人を変えることはできず、自分を変えることで対人関係を良くすることができる。
他者の課題を切り捨てる
人から認められたいという「承認欲求」のために生きてはいけない。他者の期待を満たそうとするのは他人の人生を生きてしまっている。
自分ができることは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」だけである。その選択についてどう思うかは他者の課題であり、自分にはどうしようもできないことである。
全てのひとから認められたいというのは嫌われたくないだけである。これは自分に嘘をつき、周囲の人々に対しても嘘をつき続ける生き方である。他者の課題に介入することこそ自己中心的な発想である。
自由とは他者から嫌われることである。他者の評価を気にかけないというコストを払わない限り、本当の自由を手に入れることはできない。
世界の中心はどこにあるか
対人関係のゴールは共同体感覚であり、幸福なる対人関係を考える上で最も重要な指標である。共同体感覚を理解するためには自己への執着を他者への関心に切り替える必要がある。
自己中心的な人には自分勝手な人だけでなく、「他者からどう見らているか」ばかりを気にかける生き方も「わたし」にしか関心を持たない人にも当てはまる。このような人は人生の主人公を飛び越えて、人との付き合いを損得感情で考えるような世界の主人公になってしまっている。
人は「ここにいてもいいんだ」という所属感を求めているが、所属感はただそこにいるだけで得られるものでなく、共同体にコミットすることによって得られる。いわば自らの手で獲得していかなければならない。
一つの共同体の中でしか所属していなければ嫌われることを恐れるようになってしまい、世の中には無数の共同体があるため複数の共同体に所属するほうが良い。
人とは縦の関係ではなく、横の関係を意識することで劣等コンプレックスをなくすことができる。ほめたり叱ったりする行為は相手を操作しようとするものである。ほめるために頑張ることは他人の価値観で生きてしまっている。ただ、感謝の言葉を伝えるだけにしなければならない。
他者と横の関係を築くためにはまず一人と横の関係を築くことでそこを突破口としてドンドンと横の関係を築くことができる。
いま、ここを真剣に生きる
自己への執着を他者への関心に切り替え、共同体感覚を持つために必要になるのが、「自己受容」と「他者信頼」、そして「他者貢献」である。
交換不能な「このわたし」をありのままに受け入れる自己受容、対人関係の基礎に懐疑を置かず、無条件に信頼を置くべきだとする他者信頼、誰かの役に立てているという「他者貢献」感がないといけない。そのためには勇気が必要である。
正当な努力によって成果を出し、特別な存在であることから逃げ「安直な優越性の追求」を求めるようにはなってはいけない。いわゆる自分が普通であることの普通である勇気をもたなければならない。
人生を線のようにとらえた計画的な人生は不可能でありので、点のようにとらえいまこの一生懸命に生きなければならない。未来と過去に焦点を当てるのは今を真剣に生きておらずうすらぼんやりとした光の中に生きている。
一般的な人生の意味はなく、自分自身であたえるものである。
嫌われる勇気を読んで学んだこと
言い訳をしない
何か新しいことを始めようとした時に必ず必要になるのが変化です。そんな時に「~だから」と理由を付けてしまいます。
これは新しいことを始めることが目的であったのに、やらないことが目的になってしまっています。自分の中のどこかで変化したくないという勇気が足りていないのです。
なので、目的を自分の中ではっきりさせないとだめでしょう。そうすれば、変化したくない理由でなく変化する理由が出てくるでしょう。
言い訳をしている時は変化することから逃げているのだと思いましょう。
周りの目を気にしない
承認欲求を満たすために生きていることは他人の人生を生きていると同じ事。
これを聞いて自分自身に当てはめて考えてみると、どれだけ自分が自分自身の人生を生きていないかがわかり辛くなります。
本の中で出てきた周りが私をどう評価するかは自分が他人の課題であり、自分自身にはどうすることもできない。
なので、もっと自分に素直に他人の評価を恐れずに生きましょう。
今いる組織は世界のほんの一部
今いる場所ですごく辛い状況であっても、大丈夫です。その所属している組織は世界にある無数にある共同体のほんの一部でしかないのです。
社会や学校に行っていると「自分にはここしかないのだ」というすごく近視眼的な発想になってしまいます。そんな人はここが世界の全てであるように見え、ここから外れると死んでしまうような錯覚に陥ってしまいます。
そうならないために今いる組織だけでなく、色んな人と交流し、色んな組織に所属するのが望ましいです。
過去を悔やまず、未来を恐れない
「今を生きろ」という言葉はスティーブジョブズなどの多くの偉人が残している言葉です。ぼくもだいぶ前から知っていましたが、一つの疑問が今を生きているのであればどうしてあんなに努力ができるのであろうでした。
しかし、この言葉には今は未来の目標のための準備期間として捉えるのではなく、今を本番として捉え真剣に生きよとい補足がいります。彼らは努力することを辛い準備期間ではなく、ジョブズは今を人生最後の本番として真剣に生きていたのでしょうね。
今ここを生きないことをアドラー心理学では人生最大の嘘と言っています。後悔のない人生を生きるためには今を真剣に生きないとだめなのでしょう。
過去のことは自分自身がどう意味づけするかによって変わり、未来のことは誰にもわからない。今を生きるぞ!
自分がどう捉えるかが全て
世界がどうであるかが問題ではなく、自分が世界をどう捉えるかが全て。
例えば、上司や先輩に怒られたときにこの人はどうして怒っているのかを考えましょう。ただ、自分を委縮させようとしているのであれば気にする必要はありません。しかし、自分をより良くしようとしているのであれば幸せであると捉えられます。
また、不幸な出来事があっても無理やりにでも幸せな意味づけをしよう。そうすれば不幸だと自分を苦しめることはなくなります。
まとめ
嫌われる勇気はアドラー心理学を実行するうえでは必須です。ただ、これは理論的には理解できても実行するのは難しいです。
本書の中でもアドラー心理学を理解し、本当に変わるためには今まで生きてきた人生の半分の時が必要であると言っています。
なので、急激に変わることは不可能だと思うので毎日少しずつ学び実践していきましょう。もし、あなたが若いのであれば早く変わるためのチャンスです。